タゴールの詩
エリザベス・キューブラーロスというアメリカの精神科医の書いた「死ぬ瞬間 死とその過程について」という本があります。この本は、病気により死を目前にした患者への実際のインタビューを通して、どのように患者さんが死と向き合っているのかを段階に分けてまとめた本です。
この本の中に素敵な詩が紹介されていました。ラビンドラナート・タゴールというインドの詩人によるもので、その中で一番心に響いた詩がこちらです。
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父が葬式から帰って来た。
七歳になる息子は窓辺に立っていた。眼を大きく見開き、金色のお守りを首から下げ、その歳には難しすぎる思いで頭がいっぱいだった。
父は息子を抱き上げた。息子は尋ねた。「お母さんはどこ?」
父は空を指さして答えた。「天国だよ」
少年は空を見上げ、長いことじっと見つめていた。彼は途方に暮れ、遠い夜の中へと問いを投げかけた。「天国はどこ?」
答えはなかった。星たちが、無知の闇が流す熱い涙のように見えた。
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一番最後の言葉がすごく素敵な表現だと思いました。
大切な人の死に直面した直後の人間の思いというものが胸に迫って来るように伝わる詩です。
失った大切な人を探す旅
大切な人を亡くしたら、一体愛する人はどこに行ってしまったんだろう?と途方に暮れるのですが、そこからが新たな人生のスタートだとも私は思います。
人は死んだらどうなるのだろう、この悲しみをどうしたらいいのだろうというその大きな混乱や苦しみに向き合ってそして自分の真実を見つけて行くことになります。
死後一体人はどこに行くのか、というのは実際に自分が死んでみなければ完全に知ることは確かにできないわけですが、私は自分自身のいくつかの気付きの経験から自分は肉体を越えた存在でありそして人生で体験する事を決めて生まれてきていると分かりました。
このように人は死後の世界を知りたいと思うなら「私」とは何なのか、命とは何なのかと考え始めます。そして求めればあなた自身の真実を見つけることができます。
あなたが一番しっくりくるものがあなたの答えです。
そして、この壮大な謎解きを始める大きなきっかけになるのが大切な人の死です。
大切な人の死は、自分の内側に限りなく世界が広がっていて、そして自分の内側に全部ある、大切な人ですら自分の内側にいるんだということを教えてくれます。
もうどこにもいないとあれほど途方に暮れ絶望したというのに、なんと自分の内側にいるんです。探すのを止めて、全てを受け止めた時に見えてきます。
肉体が無くなっても、愛を感じることができ、そしてその人の考えがすっと降りて来ることもあります。
本当に自分の内側にいるからです。
大切な人を探す旅に出かけても、戻って来るのはスタート地点であるあなた自身です。