悲嘆反応/死別反応とは?
魂が成長するグリーフケアセラピーを行っているグリーフケアカウンセラーのAyaです。
大切な人を失うことで経験する感情、思考、身体症状、行動のことを「悲嘆反応」や「死別反応」と呼んでいます。つまり、死別による感情、物事の解釈の仕方、身体症状、行動の変化のことを指しています。
大切な人を失うことで私たちは一般的に、そして具体的にどんな反応を示すのでしょうか。
今回の記事では悲嘆反応についてまとめました。また、私自身の経験した悲嘆反応についても書いています。こうした悲嘆反応は死別を乗り越えて行くプロセスの一部です。悲嘆反応を抑え込もうとせずその反応をあるがまま受け止めることが大切です。▶悲嘆のプロセスについて詳しくはこちら グリーフケアの総合情報~グリーフケアとは?徹底解説
そのために具体的にどのようなものが悲嘆反応と呼ばれているのかを客観的に知ることで、自分自身を振り返る助けにし、そして死別の苦しみを乗り越えるきっかけとして頂ければと思います。
悲嘆反応の具体例
死別後に感じやすい感情
どの感情も悲嘆に伴うノーマルな体験です。ですがこれらの感情が非常に長く続く場合、極端に激しい場合、悲嘆セラピーが必要である可能性があります。
悲しみ
怒り
例:自分を遺して逝ってしまった故人に対する怒り。
他人への非難
例:主治医、葬儀屋、家族の誰か、無神経な友人、神様などに対する非難。その人の行いさえなければ悲しい事態は防げたかもしれないという思いを抱く。
罪悪感と自責の念
例:故人が亡くなる事態を防げなかったことや、故人に対して取った自分自身の言動。
▶罪悪感への対処法について詳しくはこちら⇒《死別後のよくあるお悩み③》後悔や罪悪感で苦しい
不安
例:故人なくして生きて行くことができないという恐れ。自分自身の死について意識させられること。
孤独感
消耗感
例:無気力、だるさ。朝ベッドから起き上がれない。通常一定期間で回復するがうつ病の兆候である可能性も考える必要あり。
孤立無援感・無力感
例:夫と死別し赤ちゃんを一人で面倒をみられないのでは、と感じる。
ショック・衝撃
例:大切な人の死を突然知らされた時、または予期していたとしても実際に医師から告知された時。
思慕
例:夫を亡くした女性に多い。
解放感
例:支配的・高圧的な父が亡くなった時。悲しみと同時に解放感を感じる。
安堵感
例:愛する人が長期に渡って激しい痛みと闘った末に亡くなった後。長い間関係が悪かった人との死別後。
感情の麻痺
例:死別直後の呆然自失状態。様々な感情の洪水から自分を守るために心を麻痺させており、これは病的ではなく通常の反応。
死別後によくある身体症状
胃の不快感
胸の締め付け
喉のつかえ
音への敏感さ
離人感(現実のことだと思えない)
息苦しさ
筋力の衰え(力が入らない)
エネルギーの欠乏(活力のなさ)
口の渇き
死別後に湧きやすい思考
ある種の思考パターンは悲嘆の初期の段階に共通して見られ、短期間で消失するのが通常ですが、時にはその思考が持続し、抑うつや不安を引き起こすこともあります。
▶うつ予防についてこちら⇒【死別によるうつ状態を解消する方法!】精神と肉体へのアプローチ
▶不安感対処法はこちら⇒《死別後のよくあるお悩み②》強い不安に襲われた時の最強の抜け出し方
死を信じられない
例:誰かがこれは夢なんだと言ってほしい。
混乱して心ここにあらず
例:一時的に物忘れがひどくなるなど。
故人へのとらわれ
例:故人のことを強迫的なまでに考える。
故人がいると言う感覚
例:故人がまだ生きているような、見守られているような感覚。死別直後が顕著。親と死別した子供はより長い間感じていることがある。その感覚を心地良く思う子供も、怖がる子供もいる。
幻覚
幻視や幻聴を含めた幻覚や、スピリチュアルな超常現象。当惑する人もいるが多くの人にとって助けになる。
死別後に起こりやすい行動
睡眠障害
例:死別直後ではよくある。入眠困難、早朝覚醒。通常の悲嘆では自然に消失して行く。
▶不眠改善について詳しくはこちら⇒《死別後のよくあるお悩み①》眠れない時の超効果的な2つの方法
食欲の低下
うわの空の行動
例:車で会社に出かけ、車で来たことを忘れて電車で帰る。
社会的引きこもり
例:社交的な人が死別後に誘いを断る。心配してかまってくる友人を避けたくなる。新聞やテレビを見なくなり外の世界への関心が薄れる。
故人の夢を見ること
▶私が見た夫の夢はこちら⇒亡き夫の不思議な夢~やっぱり側にいる
故人を思い出すものの回避
例:故人が亡くなった場所や、写真など故人を思い出させる物を避ける。
探し求め名前を呼ぶこと
言葉に出せない時は心の中で呼び続けているかもしれない。
ため息をつくこと
子供と死別した親の呼吸はの酸素と二酸化炭素のレベルはうつ病患者のものと似ていたという調査結果がある。
休みなく動き続けること
じっとしていられなくて過剰に活動する。
泣くこと
ゆかりの地を訪れ、思い出の品を持ち歩くこと
「故人を思い出すものの回避」と正反対の行動。故人に関する記憶が薄れることへの恐れ。例:故人の顔を忘れるのが怖く写真を持ち歩く。
故人の所有物を宝物にすること
例:故人の服を着て過ごすことで気分を落ち着ける。
(参考文献:悲嘆カウンセリング、J.W.ウォーデン)
私が経験した悲嘆反応
私も死別後に上記に書かれているような悲嘆反応を沢山経験しています。
感情、思考、行動別にそれぞれについて私の体験をお話します。
感情
感情面ではあらゆるネガティブな感情を経験しました。言葉では表現できないほどの悲壮感で一杯で、孤独と悲しみを限界まで感じていました。一歩も前に進めないと思うほどに。
また、中でも私が苦しんでいたのが罪悪感です。
こうしてあげれば良かった、というような場面がたびたびイメージとして浮かんで来て罪悪感に苦しんでいました。罪悪感が悲しみに拍車をかけていたという感じでした。
もう夫はいないわけですから罪悪感を解消する術がないため、この感情を一体どうしたら良いのかわからないという混乱した状態でした。
怒りも出てきました。私と同世代で死別している人はほとんどいません。なぜ私はこんな苦しみを背負わなければならなかったのか、というどこにぶつければ良いのかもわからない自分の人生に対する怒りは大きかったです。
同時に自分に対する怒りも大きかったですし、また夫に対してさえ、なぜこんなに早く死んでしまったのかという怒りを実は持っていました。
夫は生前、私が一人遺されたら可哀そうだから先には死なないと言っていたので、どうして、という思いも自然と湧いてきました。
行き場の無い怒りというのは本当に苦しいものでした。
罪悪感や怒りの感情はとりわけ私にとっては手放すことが難しいとてもやっかいな感情でした。
罪悪感や怒りの感情はただ自然と湧くがままにさせておくことが出来ずに、どうにかコントロールしようとしたり、抑え込もうとする力がどうしても働いてしまします。このため苦しみが強くなったり長引いたりしてしまうのです。
湧いてくる感情をコントロールしようとしたり抑え込もうとせずにあるがまま認めて行くことが最も早くその感情を浄化させられる近道です。
身体症状
「離人感」は私も感じていたと思います。嘘みたいだな、とずっと感じていました。
また、私は身体感覚では特にみぞおちのあたりがずーーんと重く、朝起きると漬物石がみぞおちにあるような重さをハッキリと感じていました。
思考
「死を信じられない」、と私ももちろん思っていました。本気で過去に戻ることはできないのか、などと考えたりもしていました。
そして常に夫のことを考えていました。長年一緒にいて、病気だったのは最後の数年だけだったのに、思い出されるのは最後の闘病生活の時の夫です。その苦しかった時の夫のことばかりが浮かびました。
行動
「睡眠障害」については私もあったと思います。ですが元々定期的に不眠気味になることが若いころから日常的だったため私としてはわりといつものことだという受け止め方をしていたと思います。
また、「探し求め名前を叫ぶ」こともありました。仕事が終わり、夜遅く誰もいない道で名前を叫んだことあります。誰か近くにいたらドン引きされますね・・・。
また、「休みなく働き続ける」も当てはまります。死別後にじっとしていられなくて死別後3カ月でフルタイムのすごく忙しい仕事を始めました。今考えると本当に無謀だったなぁと思います。
死別後というのは脳が興奮状態なので正常な判断が出来なくなっているというのは後で強く感じました。
また、「泣くこと」はもちろんありましたね。泣くことは心がすっきりするのですごく良い事です。
悲嘆反応は死別を乗り越えるプロセスの一部
いかがでしたでしょうか。死別を経験した方の多くは上記の悲嘆反応の多くを実際に経験されているのではないでしょうか。
冒頭でも書きましたが、これらの悲嘆反応は死別を乗り越えて行くために必要なプロセスの一部でもあります。どんな感情も思いも否定せずに認めて行くことは悲嘆のプロセスをスムーズにそして早く終わらせていくことの助けになります。
逆に悲嘆反応を抑え込もうとすると悲嘆のプロセスの進みを滞らせることになり、乗り越えるのに長い時間がかかる可能性があります。
また、悲嘆反応について強い苦しみを感じている方は専門家の助けを借りることも考慮する必要があります。
魂が成長するグリーフケアセラピーでは、強い悲嘆反応で苦しんでいる方がより楽に悲嘆のプロセスを通り過ぎて行くためのお手伝いをしています。たった数か月で当初とは比較にならないほど軽くなった!との声を多数頂いています。
助けが必要だと思ったらなるべく早く取り組むことで立ち直りも早くなります。
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